秩父の歴史を感じる「ちちぶ銘仙館」で染め織り体験
ちちぶ銘仙館は秩父織物や銘仙などの貴重な資料や機材の展示がされており、秩父の織物の歴史を学んだり、染め物や織り物の体験ができる施設です。
国の登録文化財の建物で、秩父銘仙の歴史を学ぶ
ちちぶ銘仙館は西武秩父駅から徒歩5分ほどの場所にあります。
昭和初期に建造された旧埼玉県秩父工業試験場を利用した施設で、かつては秩父地域繊維産業の発展のために大きな役割を果たした場所だそうです。現在は繊維産業の後継者育成も行っています。
レトロな面影が漂う建物の重厚感のある扉から入ったら、まずは右手の受付へ。入館料は大人210円(税込)小中学生100円(税込)です。
虫が作る糸が着物に!? 繭(まゆ)から着物になるまでが分かる!
秩父銘仙は明治時代に秩父で始まった絹織物です。当時の庶民の着物といえば無地か縞模様が一般的でしたが、銘仙は「ほぐし捺染(なっせん)」という染め方を取り入れたことで、大胆で華やかなデザインが庶民にも着られるようになり、大正から昭和初期にかけて全国的に人気の織物となりました。
秩父銘仙の素材の「絹」は蚕(かいこ)が作る糸でできた繭(まゆ)が原料。絹糸の品質を向上させるために、養蚕の研究が繰り返されました。繭を乾燥させて、煮て、糸を紡ぐ。ちちぶ銘仙館ではこの工程がわかる資料や機械などを一通り見学できます。
1つの繭から採れる糸の長さは、なんと約1,300メートル! 秩父のシンボルである「武甲山」の標高と大体同じくらいなんです。一匹の蚕からそんなにも糸が生み出されるなんて、本当にすごいですよね。
見学のタイミングによっては、当時の機械を動かしていることもあるそう。特に狙い目は、毎月第2土曜日の来館がおすすめ。時間帯によっては機械が動いて、実際に糸ができていくのを見ることができます。
秩父銘仙の最大の特徴、織る前に経糸(たていと)を染める「ほぐし捺染」
秩父銘仙の最大の特徴は染め方。「ほぐし捺染」と呼ばれる技法で、織り上がった生地ではなく、織る前の経糸(たていと)に型紙を当てて染めていきます。経糸だけを先に染めるので、織った後は裏表どちらも使える生地、つまりリバーシブルの生地になるわけです。当時の庶民の間で銘仙が広まったのも、経済的に使えるリバーシブル生地だったことが理由の一つだそうです。
秩父銘仙は1つの模様を3〜6個の型を使って作り出します。型がずれないように気をつけながら、1型1色ずつ色を変えて、丁寧に染めていきます。ほぐし捺染は、事前に予約すれば体験することも可能。所要時間は1時間ほどで、体験料は8,000円(税込)です。
(※写真は模様確認のため手拭いを染めている様子です。)
機織りや染めの体験で、秩父銘仙をより深く学ぶ!
秩父銘仙の歴史をたくさん勉強した後は、実際の体験も。
ちちぶ銘仙館には体験工房があり、機織り体験や染めの体験ができます。所要時間はどれも30分から60分ほど。丁寧に仕上げたい方は、時間に余裕をもって来館するのがおすすめです。
秩父銘仙と同じ織り方「平織り」でできるコースター作りは、50色以上の糸の中から5色の緯糸(よこいと)が選べます。淡い色や濃い色、ラメ入りの糸もあるのでじっくり時間をかけて選ぶ方も多いのだとか。
選んだ糸は杼(ひ)という経糸に緯糸を通す道具に巻き付けて、織り機を使って織っていきます。
杼を経糸に通して、ペダルを足で踏んで経糸の開きを変えて、筬(おさ)でトントンと緯糸を打ち込んで、ペダルを踏んで経糸の開きを変えて…文字にすると難しそうですが、体が覚えはじめると心地の良いリズムで織り進められます。
集中して30分ほど織り進めれば、12センチほどの生地ができ上がります。経糸を切り取って、ほつれないように結べば手織りコースターの完成。経糸は白1色ですが、緯糸が5色あることで複雑でカラフルな仕上がりになるので、いろいろ組み合わせを試してみたくなりますよね!
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秩父銘仙をはじめとする秩父の繊維産業の歴史を、実物やパネルの展示、体験などでじっくり学べる「ちちぶ銘仙館」。趣のある昭和レトロな建物の中で、ゆったりとした時間を過ごしながら、秩父の歴史に触れてみてはいかがでしょうか?
施設情報
店舗・スポット名 | ちちぶ銘仙館 |
ジャンル | ちちぶ銘仙・見学 |
所在地 | 埼玉県秩父市熊木町28-1 (GoogleMapで見る) |
開館時間・休館日 | 9:00~16:00 休館日:無し(但し年末年始は休館) |
電話番号 | 0494-21-2112 |
公式Webサイト | http://www.meisenkan.com/ |
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