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金物店が手がける、秩父おやきと心地よい時間「喜Café(キ カフェ)」

秩父神社の参道、番場通りにある「喜Café(キ カフェ)」は、秩父おやきを中心に、ソフトドリンクやお酒も楽しめるカフェです。金物や建築を手がける会社が運営しており、素材の使い方や空間づくりに工夫を凝らした、居心地のよいお店です。

緑青色が縁取る、ガラス張りのお店

喜Caféは秩父神社から徒歩2分ほど、御花畑駅からは徒歩5分ほどの場所にあります。番場通りに面した建物は、正面が全面ガラス貼りになっているのが特徴です。

道の向かいから建物を眺めてみると、鮮やかで落ち着きのある緑青色(ろくしょういろ)が印象的です。緑青色の屋根から壁へとつながるように、ガラスを縁取っています。重厚感のあるクラシックな雰囲気と、透明感のある近代的な印象が重なり「何のお店だろう」と気になります。

事業所と住まいを改装して生まれたカフェ

お店を運営しているのは、昭和2年創業の屋根・外壁・雨樋工事などを手がける「株式会社宮前」。4代目の宮前仁さんが喜Caféの店主を務めています。店舗の設計を手がけたのは、仁さんの妻で一級建築士の亜莉沙さん。金物と建築の仕事に携わってきた2人を中心に、家族で相談しながら喜Caféのお店づくりを進めました。

この場所はもともと、事業所と住居として使われていたそうです。建物の骨格を生かしながら改装し、カフェとしての機能を加えていったのが、今の喜Caféです。初代の「喜一さん」のお名前が由来になっています。

外と中、1階と2階をつなぐ緑青色の壁と螺旋階段

店内に入ると、外観の印象そのままに、緑青色の壁が内側へと続いています。天井が高く、壁の色合いがより際立って感じられます。客席は螺旋階段で2階へとつながり、天井は吹き抜けに。視線が自然と上へ抜け、思っていた以上に店内が広く感じられます。天井の高さを活かした、ゆとりのある空間です。

店内の壁には、外壁材として元々使われていた緑青化した銅板に合わせて、同系色のガルバリウム鋼板を用いています。外観の色味を踏まえつつ、店内用に素材を選び、外と中で統一感のある表情に仕上げています。

カウンターまわりやテーブルなどには外壁材を使っているそうです。金物店ならではの素材選びが随所に見られ、統一感があって落ち着いた雰囲気です。

2階に上がると、ゆったりとしたテーブル席と、窓際にはカウンター席があります。カウンター席からは番場通りを見下ろすことができ、通りを行き交う人の気配や街の動きが目に入ります。

香ばしいごぼう茶から、ソーダ割りまで

喜Caféのドリンクメニューの中でも、目を引くのが「ごぼう茶」(税込430円)と「ごぼう茶黒糖ソイラテ」(税込580円)です。
「煮物や鍋料理などに使う、あのごぼうだよね…」と思いながら飲んでみると、思いの外飲みやすいことに驚きました。ごぼう茶は、店主がごぼう茶専門店との縁から仕入れているもの。青森県産のごぼうを乾燥させ、煮出して作っているそうで、素材の香ばしさがそのまま生きています。

ラテにすると、ごぼうの主張は少しやわらぎます。豆乳やクリーム、黒糖の甘さが加わることで、やさしい口当たりに。香ばしさの中にほのかにごぼうの気配が残る、絶妙なバランスの一杯です。他のお店ではあまり見かけないメニューということもあり、「もっと大きいサイズで飲みたい」というファンもいるそうです。

ごぼう茶のほかにも、水出しコーヒー(税込460円)や、秩父コーラ・サイダー・メロンサイダー(各・税込450円)が用意されています。ストローをさして、よく冷えた炭酸もおいしいです。

喜Caféではソフトドリンクだけでなく、お酒も提供しています。生ビールは、グラスをキンキンに冷やして提供。なかでもお酒好きの店主が強いこだわりを持っているのが、秩父のウイスキー「イチローズモルト」を使ったソーダ割りです。グラスや炭酸だけでなく、ウイスキー自体をあらかじめ冷凍庫で冷やし、氷は入れずに仕上げています。氷で薄まることなく、ウイスキーの風味をより一層楽しんでもらえるように、と考えられた一杯です。

試作を重ねて磨いた、2つのスタイルの「秩父おやき」

注文を受けてから焼き上げるおやきは、「トラディショナル」と「ニューウェーブ」、2つのスタイルがあります。
「トラディショナル」は、野沢菜やあんこ、かぼちゃ、と昔から親しまれてきた定番の安心するラインナップ。「ニューウェーブ」は、トラディショナルのおやきに生クリームやサワークリーム、マヨネーズなどをトッピングした、少し意外性のある組み合わせです。

喜Caféの「秩父おやき」の特徴は、生地を一度つぶしてからしっかり焼くこと。こうすることで、焼き目の香ばしさと生地の食感、具材の味をしっかり楽しめます。

まずは定番、トラディショナルスタイルの「あずき」(税込450円)からいただきます。焼き目がついた生地は、表面はカリッと、中はもちっとした食感のコントラストが心地よいです。中身は甘さを抑えてしっとりとしたつぶあん。シンプルで、ほっとする味わいです。

「かぼちゃサワークリーム黒胡椒」(税込540円)は、かぼちゃあんがたっぷり詰まったおやき。甘くてこっくりとしたかぼちゃあんに、さっぱりと酸味のあるサワークリームを合わせ、黒胡椒がほどよいアクセントになっています。ときどき感じるピリッとした刺激が、後味を引き締めてくれます。

「野沢菜 秩父味噌マヨと鰹節」(税込540円)は、たっぷりとのった鰹節が見た目にも華やかです。中にはシャキシャキとした野沢菜がぎっしり詰まり、トッピングには秩父味噌を使っています。みそとマヨネーズを合わせることで、しょっぱさとコクのバランスがよく、野沢菜のおやきにぴったりでおいしい!鰹節の風味がふわっと広がり、満足感もしっかりあります。

喜Caféのおやきは、仁さんが幼い頃、祖父に連れられて秩父の食事処を巡る中で出合ったおやきの記憶をもとに形にしたものだそうです。仁さんと兄弟妹4人で、トッピングのバランスや焼き方を何十通りも試作しながら、少しずつ完成させていきました。「お酒と一緒に楽しめるかどうか」という視点も大切にしながら、家族で意見を出し合って決めていったといいます。中でも「かぼちゃサワークリーム」と「野沢菜秩父味噌マヨと鰹節」は、お酒と一緒に楽しむ人が多いそうです。

お店の人

株式会社宮前 一級建築士・一級建築施工管理技士 宮前 亜莉沙さん

株式会社宮前 一級建築士・一級建築施工管理技士 宮前 亜莉沙さん

喜Caféは、金物を扱う会社ならではの素材使いを生かしながら、居心地のよさが丁寧に考えられているのが印象に残りました。
お話を伺った亜莉沙さんは、お店づくりやメニューについて穏やかに言葉を選びながら話してくれました。旦那さんの仁さんの家業を支えつつ、家族と一緒に店をかたちづくってきた背景が、空間のつくりや接客の雰囲気にも表れているように感じました。

MESSAGE

お店の人からのメッセージ

喜Caféは、実は最初から飲食店として使うことを決めて改装したわけではありません。番場通りに面したこの場所を地域活性化のために、どう活かせるだろうかと考える中で、会社の新しい事業として、飲食店という形に落ち着きました。古い柱や梁(はり)はできるだけ残しつつ、不安な部分には斜め材(ブレース)を入れたり、柱や梁の補強を行っています。現在の一般的な建築とは構造の考え方が異なるので、見ていてもいろいろと興味深いところがあります。

金物の会社という背景もあり、あえて鉄骨の階段やルーバー、屋根材を内装に取り入れました。木造の建物の中に新しい要素が加わることで、昔と今が重なるような空間になっています。外観やキッチンはシンメトリーな構成ですが、その中心にアシンメトリーな螺旋階段を置くことで、店内に立体感や広がりが生まれているのも、このお店ならではだと思います。

おやきはどれも注文を受けてから焼いていて、私たち自身も何度も食べているのに、「やっぱり美味しいね」と自画自賛してしまいます(笑)。中でも「かぼちゃサワークリーム」は、黒胡椒をきかせているのがポイントで、ビールやソーダ割りと合わせると相性が良いので、お酒を飲まれる方によくおすすめしています。甘いものがあまり得意でない方にも、「ごぼう茶ラテ」をぜひ一度試してほしいですね。ごぼうの風味を残しつつも、飲みやすくなるようバランスを考えた一杯です。 番場通りを観光で歩いている途中に、ふらっと気軽に立ち寄ってもらえたらうれしいです。食べ歩きでも、お席でご家族やお友だちとゆっくり過ごしていただくのも大歓迎。Wi-Fiや電源を備えた席もあるので、休憩所のように気兼ねなく使ってもらえたらと思っています。夕方は“0次会”のように、当店で集合して一杯飲んでから次へ、という使い方も歓迎です。お酒にも力を入れているので、今後はおつまみメニューも増やしていく予定です。

2階の客席は、もともと4人の兄弟妹が暮らしていた居住スペースだったそうです。古いサッシやガラスをそのまま生かしています。家族が過ごしてきた時間の重なりが、店内の落ち着いた雰囲気につながっているのかもしれません。

秩父旅行の合間のひと休みに、「喜Café」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

スポット情報

スポット名喜Café(キ カフェ)
ジャンル秩父おやき・カフェ
所在地埼玉県秩父市番場町16-8
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営業時間12:00~17:00
定休日月曜日・火曜日・水曜日(臨時休業あり)
電話番号080-8294-5490
公式サイト公式サイト
公式SNSInstagram

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