400年を超える歴史、ロケットを打ち上げて奉納する秩父吉田の龍勢祭を学べる「龍勢会館」
季節の行事やお祭りを旅の目的にする人も多いのではないでしょうか。秩父には年間に400近くのお祭りがあるとも言われています。
「秩父吉田の龍勢祭(りゅうせいまつり)」は毎年10月の第2日曜日に椋神社(むくじんじゃ)の例大祭の付け祭りとして行われています。松や竹を材料にした「手作りロケット」を打ち上げることで有名で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。この龍勢祭を展示や映像で学ぶことができるのが「龍勢会館」。龍勢祭をより一層楽しむためにオススメの施設です。
天に打ち上がる姿は龍のよう?手作りのロケットを奉納
龍勢会館は「西武秩父駅」から車で25分ほどの場所にあります。山をバックに佇む建物が龍勢会館です。入館料は大人=350円(高校生以上)、小中学生=200円(小中学生)、未就学児=無料です。
「龍勢祭」は松や竹を材料にした手作りロケットを打ち上げて奉納するお祭りです。打ち上がる際の高さは300メートルほどで、白煙を吹き出しながら打ち上がるロケットは龍の姿になぞらえて「龍勢」と呼ばれています。
龍勢を作るのはプロの花火職人ではなく、祭りが行われる秩父市吉田地区の住民が中心のため「農民ロケット」とも呼ばれています。試し打ちは行わず、祭り当日だけの勝負。必ずしも全ての打ち上げが成功するわけではなく、中には発射台から飛び立たずに終わってしまうケースもあります。そんなドラマのような展開を、打ち上げをする龍勢師や観客を含め、会場が一丸となって打ち上げを見守ります。
作品に龍勢が登場。アニメ「あの花」とのコラボ展示も必見!
館内には、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のキャラクターも多く展示されています。「あの花」の呼び名で親しまれているアニメの舞台は秩父。龍勢が作品中に登場することから、「あの花龍勢」と呼ばれるコラボロケットの打ち上げもしているそうです。(2023年であの花龍勢は10周年を迎え、最後の打ち上げになります。)
龍勢は全長20mほど。方向舵の役割を持つ竹の「矢柄(やがら)」に、松材をくり抜いて黒色火薬を詰めて押し固めた「火薬筒」や、落下傘や唐傘や花火などの「背負い物(しょいもの)」や飾り布を取り付けています。
27ある流派によって龍勢の仕掛けは異なり、色のついた花火や唐傘などが上空で繰り出され、最後に安全装置でもある落下傘が開いてゆっくりと矢柄が地上に帰ってくると打ち上げ大成功です。
さらに深く!映像や展示から龍勢祭や龍勢を学ぶ。
上映ルームでは約18分で龍勢祭や龍勢の作り方を学べる動画を上映しています。この動画を見てから展示を見ると、より一層楽しめると思います。
龍勢の作り方が実物大の模型や写真を使って展示されています。流派によって作り方に差はありますが、どの流派も竹や松などの材料を山から調達するところからのスタート。毎年少しずつ改良や工夫を重ね、安全に打ち上げるために講習なども行っているそうです。
こちらは火薬筒を締め付ける竹製の「タガ」。このタガは山から切り出した竹からひごを引いて、1つずつ丁寧に編んでいくそうです。龍勢の作業を行うおじいちゃんやお父さんの「格好いい姿」を見て次の世代に祭りが受け継がれていきます。
別館では、3分の1スケールの打ち上げ櫓(やぐら)の展示も行っています。実際の打ち上げ櫓は芦田山の麓に常設されていて、20メートルの高さがあるそうです。3分の1のスケールでも、十分に迫力を感じます。
同じ館内に映画「草の乱」の展示も併設しています。草の乱は明治17年に起きた秩父事件を題材にした映画で、龍勢祭が行われる「椋神社」が秩父事件の舞台となった場所という共通点があります。映画の衣装や小道具、オープンセットの一部も展示されているのでこちらもぜひ見学してみてください。
見学の後にはお買い物も楽しめる!直売所も併設。
見学を終えた後には、お隣の直売所の「龍勢茶屋」にもお立ち寄りください。秩父産の野菜や果物、加工品などを取り扱っています。11月下旬~4月頃まで期間限定で取り扱う「吉田の切り干し芋」は毎年楽しみにしているファンも多いそうです。
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2023年は10月8日に龍勢祭が開催されます。龍勢会館前には龍勢の奉納スケジュールの貼り出しもされています。お祭りと合わせて、龍勢会館の見学を楽しんではいかがでしょうか。
また、秩父リゾートグループの「星音の湯」はお近くにありますので、温浴やお食事もぜひ立ち寄ってお楽しみください。
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施設情報
店舗・スポット名 | 龍勢会館 |
ジャンル | 資料館 |
所在地 | 埼玉県秩父市吉田久長32(GoogleMapで見る) |
入館料 | 大人=350円(高校生以上) 小中学生=200円(小中学生) 未就学児=無料 |
営業時間・定休日 | 9:00〜16:30 休館日:火曜日(祝日は開館、翌日休館) |
電話番号 | 0494-77-0333 |
公式サイト | http://www.ryuseinomachi.co.jp/ryusei/index.htm |